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「進工舍」とは
1970年に“点鬼簿”入りした舎主の実父が、生前経営していた家業の屋号。
戦前につくられた木造二階建て家屋を改装して、50年代前半に創業。事業の最盛期には、本業とはまったく無縁の、名も無き「アナキスト」の活動拠点としても、多くの人間が出入りしていた。 両親没後は、曲折をへて住む人もないまま放置されていたが、今世紀に入って解体・撤去されついに消失。 このブログは、今はないこの舎(やど)を通り過ぎた人びとを偲びつつ、「新たなアナキズム」の可能性について、極私的につづるもの。 (なお、「舎」ではなく「舍」が正式名称) (最新記事の表示は、ページトップのブログタイトルをクリック) ・進工舍・別館もあります。 ・ana_gon(進工舍の次男坊)(舎主のツイッター) ◇舎主おすすめのサイト ・アナキズムFAQ ・アナキズム図書室 幸徳・大杉・啄木 etc. ・「父」 金子文子 『何が私をこうさせたか』(部分) 青空文庫 ・朴烈義士記念館 朴烈とその妻・金子文子を顕彰する韓国の施設(ハングル表記) ・アナキズム文献センター ・竹中英太郎記念館 「英太郎と労」父子の個人資料館 ・リベラル21 ・声なき声の会 ・マガジン9 ・九条の会 ・侵攻社の少年 カテゴリ
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◆佐藤千歳 『インターネットと中国共産党 「人民網」体験記』(講談社文庫)2009-12
著者は、74年生まれの若い女性。文中に二葉はさまれた写真で見るかぎり、まず、“面ガマエ”がとてもいい。 2005年6月29日からの一年間、彼女は北海道新聞所属の記者として、中国共産党機関紙『人民日報』のインターネット部門である『人民網』日本語組へ、人事交流を目的に出向を命じられる。同時に、午前の時間は北京語原大学に留学し、語学を学ぶことも。将来性を嘱望された抜擢といっていいのだろう。 携わる仕事は、人民網日本語ページ作成のため、主として人民日報に掲載された記事を翻訳し、転載すること。 中国とインターネットといえば、検閲をめぐって、グーグルと政府当局との軋轢が表面化したばかり。この本でもさまざまなエピソードを通して、13億人超の民衆を乗せて突っ走る「全体主義国家」の多面性を、縦横に写し出している。おそらく著者は、書かれた以上の(文字にはできない)“微妙”な経験も、数多く味わったにちがいない。 改革開放をうたう現代中国も、共産党を頂点に置く、厳然としたヒエラルキー社会であることに変わりはない。そのなかでも人民日報という組織は、はるか高みに位置するエリート集団にも思えるが、実際はそこでも、さらに上には上があり、また、最下層で働く労働者もいる。日本の企業や組織とは、比較にならないほどの超格差社会ともいえる。 それを象徴しているのが、人民日報の社員が暮らす二十二階建ての豪華マンション群。快適な地上階にはホワイトカラー社員が居住し、地下一階はその社員専用の駐車場だ。そして、地下二、三階は、強い湿気と排ガスのにおい漂う「モグラの巣穴」のような、服務員の宿舎となっている(第6章「人民とは誰のことか」)。 一年後、北京最後の夜に、世話になった年若い出稼ぎ服務員の宿舎を訪れ、彼女たちの住環境がきわめて劣悪なことを知った著者は、次のように率直に記す。 私は地下三階の二段ベッドに座り、この地下宿舎を考え出した人民日報の人間を心から憎んだ。日本で最高学府に学びジャーナリストとなった、いわばエリートでもある自分自身と、同じ人間である服務員たちとの境遇の違いを見つめる著者のまなざしは、温かい。だが、一交流記者にすぎない身には、どうしようもないもどかしさを懐くことしかできないのもたしかか。 日本という国に暮らしていても、中国風の全体主義的集団や組織に属する人びとも少なくないだろう。そんなひとが、この書の「共産党」や「人民日報」という語を、おのおのの集団名に置き換えて読んでみるのも、無益なことではあるまい。 現在彼女は、北海道新聞にもどり、国際部記者として活躍しているよう。今後の著作活動にも大いに期待したい。
by dra-wkw
| 2010-01-28 18:20
| 社会
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