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「進工舍」とは
1970年に“点鬼簿”入りした舎主の実父が、生前経営していた家業の屋号。
戦前につくられた木造二階建て家屋を改装して、50年代前半に創業。事業の最盛期には、本業とはまったく無縁の、名も無き「アナキスト」の活動拠点としても、多くの人間が出入りしていた。 両親没後は、曲折をへて住む人もないまま放置されていたが、今世紀に入って解体・撤去されついに消失。 このブログは、今はないこの舎(やど)を通り過ぎた人びとを偲びつつ、「新たなアナキズム」の可能性について、極私的につづるもの。 (なお、「舎」ではなく「舍」が正式名称) (最新記事の表示は、ページトップのブログタイトルをクリック) ・進工舍・別館もあります。 ・ana_gon(進工舍の次男坊)(舎主のツイッター) ◇舎主おすすめのサイト ・アナキズムFAQ ・アナキズム図書室 幸徳・大杉・啄木 etc. ・「父」 金子文子 『何が私をこうさせたか』(部分) 青空文庫 ・朴烈義士記念館 朴烈とその妻・金子文子を顕彰する韓国の施設(ハングル表記) ・アナキズム文献センター ・竹中英太郎記念館 「英太郎と労」父子の個人資料館 ・リベラル21 ・声なき声の会 ・マガジン9 ・九条の会 ・侵攻社の少年 カテゴリ
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◆バーネット/土屋京子 訳 『秘密の花園』(光文社古典新訳文庫)2007
◆梨木香歩 『「秘密の花園」ノート』(岩波ブックレット)2010 ◇アニエスカ・ホランド 監督 『映画 秘密の花園 (DVD)』(W・B)1993 岩波ブックレットがきっかけで、古典新訳文庫を読んだら、すっかりハマってしまった。 文庫の巻末にある年譜によれば、バーネットがこの物語を書き始めたのは、1910年、61歳のときというから、ちょうど100年前だ。日本は「大逆事件」で大騒ぎのころ。それもあってか、ヒロインのメアリが「金子文子」の姿と重なってしまうのだけれど…。 前からアナゴンの本棚にあるのは、古い岩波少年文庫版(吉田勝江訳:1958年)だけ。西村書店が出してる「新装版」(野沢佳織訳:2006年)も図書館から借りて読んだが、土屋訳は、その二冊とはまったく別の本のよう。 ハイライトとなる第21章から、気になったところをメモしておこう。 これ以降の章には、それまでの筆致とはうって変わって、宗教的とでもいうか、深慮をただよわせた記述が際立つ。バーネットは、この書を子どもたちだけのために書いたということが不思議に思えるほど、趣を大きく変えた言葉がつむがれていく――。 第21章 ベン・ウェザースタッフそして、第23章「魔法」にいたると、メアリの“祈り”に応えるかのように、わが足を踏みしめて立ちあがったコリンは、庭師ベンやメアリ、ディコンを前にして、とうとうと語り始める。 ……「そのうちに何かの力が働いて、地面の下からいろいろなものが伸びはじめ、何もなかったところにいろいろなものが育ちはじめた。きのうまで影も形もなかったものが、きょう見ると、そこにある。ぼくはこれまでそういうものを何も見たことがなかったから、非常に好奇心がわいた。科学的な人間はいつも好奇心を持っているものだし、ぼくは科学的な人間になりたいと思っている。ぼくはそれ以来、『これは何だろう? これは何だろう?』と考えつづけてきた。ここには何かある。何もないはずがない! ぼくはその名前を知らないから、魔法と呼ぶことにした。ぼくは太陽が昇るところを見たことがない。でも、メアリとディコンは見たことがある。二人の話を聞くと、それも魔法と呼んでまちがいないと思う。何かが太陽を下から押しあげ、上から引っぱっているんだ。この庭に来るようになってからときどき、ぼくは木のあいだを通して空を見上げる。そうすると、不思議なうれしい気持ちがわいてくる。何かがぼくの胸の中で押したり引いたりして、ぼくの呼吸を速くさせるような気がしてくる。魔法はいつも押したり引いたりして、何もないところからいろいろなものを作り出す。すべてのものは魔法の力で生まれたんだ。葉っぱも、木も、花も、鳥も、アナグマも、キツネも、リスも、人間も。だから、魔法はぼくらのまわりのあらゆるところに存在するにちがいない。この庭にも。あらゆる場所に。この庭に満ちている魔法がぼくを立ち上がらせ、この先もずっと生きられると教えてくれた。ぼくは魔法の力を自分の中に取りこんで、その力で自分を押したり引いたりして強くしていく、という科学の実験をおこなってみようと思う。どうやればいいかわからないけど、そういう力のことをずっと考えつづけて、ずっと呼びつづけていれば、実際に起こるんじゃないかと思う。たぶん、手始めとしては、そういう初歩的な方法でやってみればいいと思う。このまえ、ぼくが初めて立ちあがろうとしたとき、メアリはずっと、すごい早口で、『きっとできる! できるはず!』って唱えててくれたんだ。それで、ほんとうにできた。もちろん、ぼく自身もがんばったわけだけど、メアリの魔法も助けになった――それに、ディコンの魔法も。……」メアリとコリンをかくも変貌させた花園とはどこにあるのか。あらゆるところに存在する魔法とは、何を意味しているか――。 自然と人間の共生を説く子ども向け小説というだけではなく、すべてのにんげんのために書かれた「甦生」(そせい)の物語、これは、あらためてそれを確認させてくれる新訳と思う。 コッポラ監修の映画があるというので、"amp"にDVDを注文したのだが、それはまだ届かない。⇒#2 ※ デジタル絵本サイト 『メアリの花園』
by dra-wkw
| 2010-02-26 17:45
| 読書
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